「よそ者」への眼差し
人の出入りが多くないコミュニティでは、違う地域から引っ越してきた人に「よそ者」のラベルを貼ることが多いですが、これはニュージーランド でも同じのようです。
先日、博物館で上映していたノンフィクション映画を観ました。
短編がいくつか続けて上映されたのですが、その内の一つは海辺町の昔からある商店を巡っての記録でした。
その町は静かな田舎町だったのですが、綺麗なビーチがあることからだんだんサーファーや別荘を買う都会の人間たちの出入りも多くなり、それに従い地価が上がり、他にも店が出来始めたので、町の人々が頼りにしていた商店の閉店が決まります。
その時のことをインタビューで回想しながら、中年の女性たちが、「変な都会のアクセントで話すオークランドから来た人たちが、町に増えてきて」と嫌そうに話すシーンがあり、その場面で映画を観ていた人たちは大笑い。観客のほとんどがオークランド住人だったと思いますので。
ちなみに、この実際にあったストーリーの展開は、なかなかダークです。町の人たちが、「この商店はわが町の文化なので保存しよう」と、取り壊しに来たブルドーザーの前に座り込みをして阻止し、行政にも働きかけて保存されることになりました。
ところが、当の商店の持ち主は、さっさと売却してお金が欲しかったので、そこでも一悶着あり。
そんな状態の中、ある晩放火で店の大半が燃え、焼け跡が放置されたままに今に至っているということです。それで、その映画の中では、誰が放火したのか地元の人は暗黙の了解で見当がついているのに警察は捜査を曖昧にしている、というインタビューも収めていました。
その土地を購入した人は、「地元の人が怖いので、今はあの土地では何も出来ない」と話し、「暴動と放火があり、あとは殺人があれば完璧ね」と冗談を言っていたそうです!
不思議な怖さがある映画でした。