Auckland ダイアリー

皆様ご無沙汰しております。引っ越しの際は大変お世話になりました。本当にありがとうございました!遠くなりますが、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

オークランドのコロナ発生と人種ごとの住みわけ

2週間ほど前、オークランドが3日間だけロックダウンしたんですが、そのきっかけとなったのは、ある家族の3人が陽性だったことでした。お母さん、お父さん、高校生の娘、という3人だったのですが、おそらく洗濯工場で働くお母さんがまず感染したのではないか、という推測のようでした。この洗濯工場は、ニュージーランド着の飛行機の機内で使われているナプキンやシーツなどの洗濯を請け負っているそうです。ところが、隔離されている入国者から見つかっているコロナウイルスのどの型とも一致せず、感染源は今も分かっていません。

 

この家族の娘が通う高校は、Papatoetoe高校(パパトイトイ、みたいな発音のようです)という、南オークランドにある高校で、ここの学生や教職員は検査を全員受けることになりました。ところが、保健所が連絡をしても連絡がつかない家庭、20回ほど連絡してやっと検査に来る子供、それから言葉が通じない家庭などがあり、やっと検査を受けた生徒が陽性で、その兄弟も陽性と出ました。そのニュースの報道のされ方が、「家にいた、というけれど、どこを出歩いていたか分からない」的な書かれ方で、この陽性だった生徒が、少々不良っぽい感じなんだろうなあ、という印象を受けました。言葉も通じない家庭もある、というから、移民も多い地区なのかなあ、と。

 

f:id:rainbowcafe:20210228184811p:plainそうしたら、このPapatoetoe地区で数日前、家の窓から銃を発射した男が警察に射殺された、と今日のニュースにありました。そのニュースの写真を見ると、白人いないやんけ、と。シーク教徒の人も見えますし、インドっぽい服の人も見受けられます。

 

出身や人種で固まって住むことはどこでも見られるし、非白人地区は治安が悪い、というのもどこでも当たり前のようになっていますが、おかしいですね。ニュージーランドはコロナ対策で随分株を上げていますが、社会問題も色々あります。

 

 

子供の貧困

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僕の制服を僕の兄弟が着ていかないといけなかったから、今日は学校に行けなかった。

ニュージーランドでは、7世帯あたり1世帯の割合で貧困家庭なんだそうです。上の写真にあるのは、ある援助団体の広告で、近所のショッピングモールで目にしました。「制服がないから学校に行けない」とあります。似たような状況が日本でも、私たちの世代では身近にありましたね。あの時代でも貧困は辛かったと思いますが、社会全体が豊かになってきている今の時代、子供の靴が買えない、というのはもっと辛いのかもしれません。

 

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NZ herald 新聞の2020年6月11日の記事から

上の写真に写っているのは高校三年生のグループで、古い靴の回収と募金活動をして、低所得者が多い学校(在校生の家庭の経済状況は公表されていて、ランク付されています)に寄付をした、と新聞記事にありました。回収した靴は、洗ったり修理したりしてから寄付をしたそうです。いいですね。この活動の発端は、メンバーの一人が冬場に裸足で登校する小学生たちを見たことにあるそうです。ニュージーランドでは裸足で外を歩く人が多く、スーパーでも裸足の人を目にすることが多いですが、さすがに冬に裸足で登校するのは靴がないからですよね。オークランドも冬は雨が多く寒いので、裸足は冷えるはずです。

 

貧困ラインの上でも、高い家賃で暮しは皆大変です。先日、窓の修理に来た人の話では、1940年代では年収の3倍くらいで家が買えたのに、今ではとても無理だ、とのことです。自分たちももちろん、成人している子供たちも家を買うなんて一生無理だろう、と。工務店の下請けをしている人の話でも、収入は家賃の支払いで精一杯とのこと。最近は家賃に足りない週もあるとのことです。ちなみにこの二人は白人のニュージーランド人ですので、就職差別があると言われているマオリサモア、フィジーなどの太平洋諸島出身者だと、もっと厳しい状況だと思います。

少し前までは、オーストラリアの方が給料がいいので仕事でオーストラリアに行く人が多かったようですが、近年はオーストラリアの景気も良くない、と戻る人も多いそうです。

ママ友が幼稚園の先生をしているのですが、お昼にカビの生えたサンドイッチをお弁当に持ってくる子供がいたり、お弁当が足りない子供がいたりするそうです。そういう子たちのために、食パンとジャムでサンドイッチを先生たちが作ってあげるんだそうです。貧困家庭は思っているより多いよ、とのことです。

ニュージーランド社会保障が充実している、という印象がありましたが、そうでもない様子です。公の医療保険もあるのですが、カバーされる範囲が狭いのか、大学の先生の何名かが大病をした際に、医療費が払えず募金活動をする、という事が数回ありました。

 かと思えば、お金持ちはとてつもないお金持ちです。基本的に不動産を持っている人たちは、生活には心配はない、と言ったところのようです。

 

アメリカの教育について

最近、アメリカ人の子供たちをオンラインで教える機会がありました。

 

授業の中で、「アメリカの教育は生徒に自主的に深く考えさせる授業をするし、授業中に生徒たちはもっと質問をする」と多くの日本人が思っているけど、本当だと思う?と生徒たちに尋ねてみました。

色々な答えがありましたが、「やる気のない生徒もいるけど、授業はディスカッションが確かに多い」ということのようです。

クリティカルシンキングやディスカッションを授業に取り入れるのは、最近急に日本でも推奨されているようですが、今までの日本式の教育を受けてきた先生たちがそんな授業をするのは、かなり難しいと思います。「考える力をつける」という理想を共有していても、実際に考えさせる授業をするのは、技と経験が必要です。

 

また、多くの生徒がアメリカの学校の問題として挙げたのは、学校への予算カットの問題です。"Freedom Writers" や "Music of the Heart" といった映画を観ると、アメリカの学校の予算不足の問題が描かれていて少しは知っていましたが、中学生が問題点として挙げるほどに明らかな問題だとは知りませんでした。具体的には、今まであったフランス語の授業が予算不足で突然なくなったりするそうです。ちなみにある生徒の通う学校では、日本語とスペイン語は残されたそうです。また、黒人や有色人種が多い学校ほど予算削減がひどいとの事です。そういった学校環境が貧困の負の連鎖を引き起こしている、と説明する生徒もいました。

 

また、学校での銃乱射事件が多発しているので怖い、と話す生徒もいました。CNNの記事によると、2009年から2018年までの10年間でアメリカの180校で銃乱射があり、356人が死傷したとの事。全くバトルロワイアルの世界です。毎月のようにアメリカのどこかの学校で(小学校も多い)乱射事件があったら、それは怖いだろうと思います。日本にはない問題がアメリカにはあるんですね。

 

ところで、受講生の中にはホームスクーリングをしている生徒も多いのですが、学校に通っている生徒と比べて、社会への問題意識が薄い傾向があるように感じます。おそらく親は理念があってホームスクーリングを選択しているはずですが、子供が出会う人々は限定されてしまい、刺激が少ないということはあるかもしれません。

 

 

 

 

ロックダウン再開・ネットショッピング

昨日の正午より、二度目のロックダウンになりました。

スーパーで多めに食材を買っておこうかとも思いましたが、前回のロックダウンもスーパーは品薄ながらも物はあったなあ、と考えながら冷蔵庫のものを食べて過ごしました。

 

一応ロックダウンは3日間となっていますが、ウイルスの潜伏期間を考えると、確実にロックダウンは延長になるだろうと多くの人が語っています。

 

こういうロックダウンは完璧にやり切れればいいですが、海外からの帰国者が、隔離中に外に遊びに行ってしまったり、隔離者同士で交流してしまったりすると、ウイルスは漏れるようですね。

今回のロックダウンのきっかけとなった感染一家は、感染源が不明、とのことです。専門家は、おそらく、感染は数十名に広がっているだろう、と読んでいます。

 

さてさて、先ほどファーマーズというデパートからのDMで、下着のページにリアルな体型の写真があり、いいなあと思いましたので、載せておきます。

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そうそう、普通の人はこんなんよ

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沖縄も感染者が増えているようですので、お疲れと思います。お互い、健康第一で頑張りましょう!

感覚過敏な人のための買い物時間

近所のスーパーで、こんなポスターがありました。

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「静かな時間を楽しんでください」というポスター

毎週水曜日の午後の1時間、店内の音や光を控え目にして、感覚過敏な人やその家族が買い物を楽しめるようにしているそうです。

先週スーパーに行った時、店内の照明が暗かったので、電気の故障かな?と思ったら、ちょうどその「Quiet hour」の時間でした。

店内の音楽も一切なく、何となく客も大声で話さないように気をつけているような感じでした。

スーパーのウェブサイトによると、この取り組みは去年から国内の全店舗で週1時間を指定して行われているようです。

Quiet hour の1時間は、店内の音楽はなし、照明も暗め、非常時以外の店内アナウンスもなし、レジで商品をスキャンするときのピーという音も最低限にし、品出しもこの時間は避け、ショッピングカートをガラガラと回収するのもなし、とのことです。

いつもスーパーで、チカチカして疲れる感じがしますが、この日は穏やかな雰囲気があり、とっても良かったです。

少し暗くて静かだと、お店に高級感も出ますし、いつもこんな感じがいいなあ、と思った次第です。

それぞれの特別な事情は他の人に分かってもらえない事が多いですが、こんなお店の取り組みが感覚過敏の人の感じ方を想像するきっかけにもなりますね。

学校に金持ちの子が多いか、貧乏人の子が多いかがすぐにわかる

ニュージーランドに来て家探しをする時、不動産の広告に、物件が校区になっている学校のリストが載っているんですが、"decile rating" というのが必ず付いていて、学力テストのランキングかな、とぼんやり思っていたんです。

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こんな近隣学校情報が不動産の広告には必ず載っています


そうしたら、人に「decile ratingは8以上じゃないと、荒れてるから気をつけてね」と言われて調べてみると、何と、学力ではなくて生徒の家庭の経済力を表す数字だったんです。

公立校は政府から補助金を受け取っていますが、1から10まであるランクで、10はあまり補助金を受け取らず、1は他のランクの学校より多額の補助金を受け取っている、ということらしいのです。これは、生徒の家庭の収入のデータから政府が決めるランクです。

その数字がなぜ不動産の広告に載っているかを考えると、「貧乏人が多い地域=荒れた学校」、「金持ちが多い地域=落ち着いた学校」という意味しか思いつきません。政府も、なぜこのランキングを公表するのでしょうか。

不思議なもので、初めてこのシステムを知った時には吐き気がしましたが、皆が当たり前のようにこのランキングを受け止めているのを見ていると、「まあ、そんなもんか」と思うようになってきました。

でも、やっぱり酷い。この露骨なランキング、悪い影響はあっても、いいことは何一つない。日本で受験がある学校の偏差値を公表する方がずっとマシだと思いました。

 

 

うまみ調味料について

先日ご紹介したニュージーランド産の昆布とワカメですが、日本で慣れている味と食感とは少々異なりました。

昆布は、そのまま食べるととても美味しいのですが(日本の昆布より美味しい)、味噌汁にするとあまり出汁は出ないように感じました。それから、ワカメは香りがない。

まだ味噌汁を一度作っただけですので、美味しい食べ方を工夫してみますね。

 

さて、息子はインスタントラーメンだの、何とかソースだのが大好きですが、私が「これは味の素が入っているからだめ」と買ってあげないので、不満をいつも抱えています。それで、どうして味の素がいけないのかを分かりやすいYoutubeか何かで見せようと探してみたのですが、驚くほどサーチで出てくるのは「味の素は天然のもので、体に悪くない」というビデオばかりでした。

アメリカでつくられたビデオをいくつか見てみたのですが、味の素を巡る新たな視点がアメリカで語られている事を知りました。

「トマト、マッシュルーム、チーズなど天然の食べ物にも含まれているもの」というフレーズは多くの人が口にしていましたが、それに加えて「MSG(味の素の物質名Monosodium glutamate の頭文字をとって通常こう呼ばれます)が健康に悪い、というのは中国人差別から生まれた誤った主張だ」というものです。味の素擁護派のほとんどが、この説を唱えているようです。

それで思い出したのが昨年のニュース。ニューヨークで健康アドバイザーのような仕事をしている白人女性がLucky Lee'sという中華料理屋を開店したのですが、"Clean Chinese Food"(清潔な中華料理)の店、という宣伝文句を掲げ、SNSで「食べても翌日に胃がもたれたり気持ち悪くならないラーメン」や、「しょっぱかったり、脂っぽかったりしない料理」を提供する書いたもんですからバッシングを受けました。まるで中国人がオーナーかのような店の名前をつけておきながら、伝統的な中華料理を不健康で不潔であるかのように言うなんてけしからん、と言うことでした。確かに、中華料理を毎日食べている人や、中華料理店の人はムカッと来る言い方ですよね。おそらく、異文化をバカにしていることに、本人も気がついていないんだと思います。

けれども、彼女が言いたいことも分かります。中華料理を夢中になって食べた後に、気持ちが悪くなったり、頭がクラクラしたりしたことは、私も経験があります(中華料理店症候群 Chinese restaurant syndromeと1960年代後半に医学論文で名付けられましたが、今では学術的には根拠がないと否定されているそうです。このネーミングも人種差別的だと非難する記事も多く見受けられます)。ですので、「MSGアレルギーの人用中華料理」とか、「塩分制限がある人でも食べれる中華料理」とか、ちょっと言い方を工夫すれば良かったかと思います。

 

www.nytimes.com

 

「人種差別」と言われてしまうと、もう味の素批判がタブーになってしまうんでしょうね。

Thomas DeLauraという筋肉もりもりの男性は、「味の素を食べてもビタミンCが豊富な果物などを摂取すれば大丈夫」とビデオで話していました。それから、普通であれば、腐ったものなど体に悪いものを食べると、味覚で「おかしい」と分かるのに、味の素がふりかけてあると「おいしい」と勘違いして食べれてしまうのは問題だ、とも。

テッドトークのシリーズで、Katherine L. Reidという研究者は、自分の子供が自閉症で悩んでいたけれど、グルテン(麦類に含まれるタンパク質)、カゼイン(乳製品に含まれるタンパク質)、MSGなどいうグルタミンを含む食品を避ける食生活を継続したところ、子供の様子がみるみる改善された、という話をしています。

www.youtube.com

 

「味の素が体に悪い、というのは単なる人種差別」という視点はあまり筋が通っていないと思います。味の素のうまみ成分が発見され製品化されたのは、せいぜい100年前のことです。それ以前の中華料理に味の素は使われていなかったはずですから、伝統的な中華料理を侮辱していることには当たらないでしょう。それから中国人でも、健康に気をつける人は味の素系の調味料は使っていません。次の記事によると、中国の経済が上昇する中でなるべく自然に近い食べ物を選ぶ人々が増え、味の素を避ける人も増えてきた、とのことです。

www.sixthtone.com

健康に関することは金銭的利害関係や人のプライドなどとは関係なく、科学的真実が知りたいものですが、難しいのではないかと思っています。私としては、今まで味の素を買ったことも使ったこともないので今後も買わないのは確実です。